花のイヤリングをつけて。
ブルーの腕輪をして。
シーグラスのネックレスをして。
後ろに小さくお団子に結って。
黒のワンピースを着て。
最後のピアノを弾きに行った。
ここでピアノを弾きに何度か通った。
最後に弾きたかった。
もう二度とあの場所で弾くことはない。
おじいさんがやさしい眼差しで聞いてくれて褒めてもらったこともあった。
すごく嬉しかった。
いい終わり方ではなかった。
それが、残念だった。
快く、終わりたかった。
時間やルールを主張し、人間性を感じない対応だった。
急かされて音楽はできるものではない。
むしろ、焦りは失敗ばかりを引き起こす。
うまく弾けなかった。
それでもこのピアノに、最後の挨拶をしたかった。
小さな発表会をひとりで開いた。
帰りにサイダーを買い、
お気に入りの水色のガラスコップにサイダーを注いだ。