静寂と、ことばの在処。

こころの奥処。 ことばの在処。 ことばの居場所を求めて。

ひとりのちいさな発表会。

花のイヤリングをつけて。

ブルーの腕輪をして。

シーグラスのネックレスをして。

後ろに小さくお団子に結って。

黒のワンピースを着て。

最後のピアノを弾きに行った。

 

ここでピアノを弾きに何度か通った。

最後に弾きたかった。

もう二度とあの場所で弾くことはない。

おじいさんがやさしい眼差しで聞いてくれて褒めてもらったこともあった。

すごく嬉しかった。

 

いい終わり方ではなかった。

それが、残念だった。

快く、終わりたかった。

 

時間やルールを主張し、人間性を感じない対応だった。

急かされて音楽はできるものではない。

むしろ、焦りは失敗ばかりを引き起こす。

うまく弾けなかった。

 

それでもこのピアノに、最後の挨拶をしたかった。

小さな発表会をひとりで開いた。

 

帰りにサイダーを買い、

お気に入りの水色のガラスコップにサイダーを注いだ。

 

ヨ ハ ク。

余白のない場所にいられるわけもなく、結局退散した。

 

あの小さな窓枠にいくつものことばが埋め尽くされている。

 

 

 

やっぱりあの場所は好きじゃなかった。

こころの置き場所はやっぱり、ここなのだ。

さみしいけれど、ここなのだ。

 

 

ここには余白が十分にある。

いくらでも改行ができる。

だからわたしはこの場所を残し、時折ここで書いている。

 

 

過去のことばにもここで会える。

生きた証や、過ごした日々。

躊躇もなく、誰かの視点を考える必要もない。

何かで埋め尽くされているわけでもない。

だからわたしはここに書くのだと思う。

 

余白ということばが好きだ。

 

余白という意味合いも。

 

静けさに合うことばが好きだ。

 

 

『余白』『薄弱』『白弱』『間隙』『儚さ』『脆さ』

『痛み』『愛』

 

 

きっとこれらがわたしのテーマだ。

ことばの在処は、本当にわたしにとっての在処なのだ。

 

 

exist in.

眠りたいのにな。

なんだかこころがそわそわしている。

 

孤独と恐れの中にいる。

何かつながりが欲しくなったときにSNSに手を伸ばしてしまうのだろう。

でも、どこも違う気がして。

何とつながりたいのだろう。

孤独を埋めるため?

不安を打ち消すため?

 

過去のことばかり考えてしまう。

消したいはずのものを、思い出してしまった。

傷ついてきた人間が、人と関わる仕事などできるだろうか。

社会から離れてしまった今、渦巻く未来ヘの不安。

孤独なんだよね。

わたしはどうしたら、いいのだろう。

 

どんなことばも今は、消えてゆく。

身辺整理と、部屋への手紙。

少しずつ身辺整理をする。

 

使い切れずにいたムーミンのノートに、

これからの予定や、やるべきことを書き出し、

付箋を貼って、ひとつひとつ整理していく。

衣類を少し片づけて、洗濯機を回した。

まだ、することはたくさんある。

 

ものを整理することは、

前へ進むための作業なのだと思う。

そして、

それはこれまで積み重ねてきた日々との、静かな訣別でもある。

 

今の私は、何も持っていないように思える。

それでも、ふたりで生きていくことを決めた。

 

大好きで、大切だったこの空間を手放すことも決めた。

 

だけど、すべてがゼロになるわけじゃない。

持っていけるものは、ちゃんと持っていく。

思い出も、経験も、

これからの暮らしにつながるものも。

 

風を感じながら、一人で過ごす。

苦しかったね」と振り返るよりも、

ありがとう。本当にお世話になったよ。

そんなことばで、この部屋を送り出したい。

 

またぼくは、失うんだね。

ふたりで生きていくことを決意していたのに。

もう、叶わない。

ねぇ、ぼくの居場所はどこかな。

ぼくの、そばに居続けてくれる人は、いるのかな。

こころが、張り裂けそう。

かなしみの滲んだ、だいすきな場所へ。

今住んでいるこの場所は、僕にとって大好きな場所。

静かで居心地が良くて、ぼくを守ってきた大切な場所。

この場所に救われて、この場所を必死で守ってきた。

手放すことがとても、とても、とても怖かった。

 

 

 

でも、気づいたんだ。

かなしみが埋まってしまった場所なんだって。

ここにいることが安らぎであると同時に、かなしみに沈んでしまう場所なんだって。

 

つらいことをここでひとりでやり過ごし、

ここで数えきれないほど泣き、

気づけばぼくのかなしみや記憶が滲んだ場所になってしまっていた。

 

だから、ここにいるとかなしくてたまらなくなる。

昨晩、突然涙が溢れた。

ぼくはもう、ここにいるべきじゃないんだと思った。

 

かなしい出来事がありすぎて、この場所さえもかなしみの色に変えてしまっていた。

仕事に行けなくなったこともいたし方がないんだ。

 

もう、この場所とお別れしよう。

僕はもう、一人で生きることに限界だった。

痛みを抱えることに、限界だった。

 

ここはぼくにとってとても大切で、大好きな場所だったよ。

 

 

 

ぼくは、だいすきなあなたの元で生きていくよ。