視界が狭くなっていた。
目を開けることさえしんどくて、
話をすることさえしんどくて、
存在することさえ、しんどくて。
まるで抜け殻だった。
痛みに包まれ、その鎖を断ち切ることができずに、
どこかわからない世界にいるような感覚。
開放されては、また一難、また一難と、
ぼくを苦しめた。
そんな苦境下の自分は、自分ではないみたいだった。
大切な人の笑顔さえ
空想の中に消えていき、
すぐに痛みに引き連れられていく。
半ば、亡霊のようなものだ。
その夜、
嗚咽に混じるような大粒の涙をひたすら流し続けた。
心を震えさせることを、止めることができなかった。
この涙は、思いの丈。
苦しさ故の涙。
悔しさ故の涙。
自分のため、東奔西走してくれる家族への涙。
流れた涙は、
少しだけ自分のこころを包んでくれた。