こころの中に忍び込まれることが、きらいだ。
ぼくを探られることが、苦手だ。
すべてを見透かされた顔で、
近寄られることが苦手だ。
飲み込まれてしまうような気がするからだ。
自分よりも相手の存在が大きくなって、
ぼくのこころを相手が占領してしまって、
相手のこころがすぐ近くに感じられて、
相手の呼吸の音さえ感じるようになって、
境がなくなってしまう。
この感覚が、こわくてたまらない。
だれかのこころが、
ぼくのこころにはいってきて、
誰かの存在が大きくなることが、
きっとぼくは、耐えられない。