増える、
涙とできなくなること。
覚束ないままに重たい歩幅を進め、病院へ向かった。
水面に映る太陽が煌めいていた。
映った太陽に手を透かしてつかもうとする。
つかめるわけ、ないのにね。
今のぼくには眩しすぎる、眩しすぎるんだ。
痛みを背負ったこの身体には、眩しすぎた。
長すぎる待ち時間に痛みは増幅するばかりだった。
何度も頭をよぎる疑問台詞。
『 ぼくは、生きているんだろうか。
ぼくは、生きていけるだろうか。』
自分が見えなくなってゆく。
世界が見えなくなってゆく。
色が、霞んでゆく。
滲んでゆく想いに涙は溜まる。
残酷なまでに眩しい太陽が、
歩くぼくを真っ直ぐに照らしている。
価値が薄らいでゆく時。
何に手を伸ばしたらいい?
自分を失わないために、できることは何?
消失するような不安に襲われて。
何もかも、塞ぎたくなる。
ねぇ。ぼくは生きている?
ねぇ。きみは生きている?