言えずに終わってしまうことが。
言わずに終わってしまうことが。
いくらでもあるけれど。
『きみがぼくにみせてくれた勇気を、忘れない』
きみは、そう残して行ってしまった。
ことばを諦めたとき、関係は終わる。
終わりがみえている今。
こころを開け放つことなど、ぼくにはできなかった。
『忘れてほしい』と言うぼくに対して、きみは言う。
『きえないよ、永遠にするんだよ。いつでも思い出せるように』と。
こころのままに、きみに委ねることができたなら、
どれほどよかっただろう。
去り行くきみを引き止めることさえ、できなかったのだから。